こらむタイトルは漢字の変換ミスではない。
カード名は確かに
《束の間の開口/Temporal Aperture》
だけれども。
10年以上も前にMTG引退をした方々との邂逅。
この方々とは、
静岡県富士市でアイボリーカップという大会を主催していた人や、
静岡市で開催されていた大会の常連の人。
アイボリーカップとは、
10年以上前、まだマジック黎明期と呼ばれた頃に、
静岡県で最も権威ある大会だった。
優勝賞品の副賞でα版の《象牙の杯/Ivory Cup》がもらえる大会だった。
また、第一回アイボリーカップは店主のMTG人生初の大会でもあった。
強いデッキの組み方もわからないひよっこの時代である。
この久しぶりの邂逅は全員facebookで再会し、
久しぶりに会ってお酒を飲もう!ということで先日会ってきた。
1人は2年程前に1度会っている人。
2人はもう10年近く会っていない人。
久しぶりに会ってもあまり見た目も含めて変わらない面々。
自分以外の3人はMTG引退しているのだが、
お酒の席では案外とみんなMTGの話題だ。
「今、カードの値段すごいんだって?」
Serra「今、《不毛の大地/Wasteland》いい値段つきますよ。」
「あのアンコモンが?」
Serra「今、7000円くらいはしますよ。」
「売って飲み行けるな!」
Serra「テンペストで一番高いカードだと思います。
ついでに追いかけるように《古えの墳墓/Ancient Tomb》がいい値段です。」
「あれが?」
Serra「レガシー需要です。」
「テンペストのカードがそんな金額かー。変わるもんだな。」
Serra「アライアンスはもっと強烈ですよ。
《Thawing Glaciers》や《Kjeldoran Outpost》がトップじゃないですからね。」
「今、何が高いの?」
Serra「《Force of Will》です。あれが1万円超えですよ。」
「売ったら隣におねえちゃんがつくところに飲み行けるな、オイ!」
Serra「売る時は是非Cardshop Serraに。飲む時は是非おごりで。」
「何言ってんだ、お前が一番お金持ってんだろー?」
Serra「まさか。一番年下ですよ、自分。」
「謙遜すんな、社長。」
「たしか《Force of Will》はまだ残ってたような気が。」
Serra「デュアルランド残してます?」
「いや、あれは持ってなかった。」
Serra「あれもいい値段になってますよ。」
「そうなの?」
Serra「昔はどの色の組み合わせでも大して値段が変わらなかったんですが、
今は全然違いますよ。」
「やっぱり青いところが高い?」
Serra「そうですね。青いところは2万以上が常識です。」
「ウチラのやってた頃2500円で買えたよな。」
Serra「みんなその金額で高いって言ってましたよね。」
こんな話題や昔の思い出話がメインだ。
もちろん今の話題も出てくる。
「そういや一番の出世株はお前だよな。」
Serra「うちは中小企業ですよ。出世なんて。」
「でも社長だし。」
Serra「ベンチャー企業は税金に苦しめられる毎日ですよ。」
「そうかもしれないが、自立出来てるのはすごいよ。」
Serra「自立もですが、まさかMTGで生計を立てるとは、
当時は思いませんでしたね。」
「そうだな、出会った時、お前まだ未成年だったもんな。」
Serra「お酒飲めない年齢でしたね。人生どう転がるかわかんないもんです。」
自分の業界の同業者達はだいたい自立している人だが、
(そして案外と潰れていくお店も多い。)
友人達で自立した人はほとんどいない。
そういう意味では自分は珍しいのだろう。
自分たちの話題以外では、
「あの人は今?」
も話題の1つ。
Serra「S覚えています?」
「ああ、あの赤単小僧!」
Serra「ええ、あの赤単小僧はCardshop Serraで働いてますよ。」
「本当か!不思議なもんだな!」
Serra「自分でも彼と一緒に働くとは思いませんでした。」
Sとはもちろん、時折こらむにも名前が出るスタッフSである。
MTGとチャーハンとミルクティーとハバネロの事しか考えていないSである。
彼は店主と同じくらいのMTG歴であり、
昔から大会に出る彼は赤単しか使わないと言われるくらいの赤好きだったので、
昔の彼を知る人は皆、彼の事を
「赤単小僧」
「赤単野郎」
と愛情と揶揄の入り混じった呼び方をする。
大会でもお互いに顔見知りになっている人がSとあたると、
「あ、メインに《寒け/Chill》入れていいですか?」
とゲーム開始前に冗談が飛び交う事もよくあった。
そんな赤単小僧は今、
「チャーハン」
と呼ばれて愛されている。
なお、本人曰く、
「当時は自由になるお金も少なくて、
赤単組むしか出来なかったんですよ。」
とのことだが、
10年以上経った今も変わらず赤大好き野郎である。
三つ子の魂百までというやつだろうか、
おそらく10年後でも愛される赤単小僧のままだろう。
こんな話題が沢山飛び交う4人での久しぶりのお酒は、
あっという間に時間が過ぎ、
終電の時間になってしまった。
《束の間の開口》ならぬ束の間の邂逅だった。
そういえば、この《束の間の開口》というカードも、
10年以上前のカードだった。
当時はスタンダードのトーナメントカードだったカードも、
今はEDHで使われる程度。
少なくともレガシーやヴィンテージで見る事はまずない。
EDHでは相当面白い上に、
アドバンテージを得られるので決して悪いカードではない。
この日会った1人は来年に海外出張に行ってしまうらしく、
なかなか会えない距離になってしまうと聞いた。
それも理由で、
次はその海外出張前に必ず飲もうと約束した。
何年経ってもMTGで繋がった多くの人とは、
こうして再会出来る事も多い。
MTGがいかに素晴らしいコミュニケーションツールであるかがよくわかる。
一度ルールを覚えてしまえば、
仮にカードを全て手放したとしても、
いつでも再開可能というのも事実だ。
もしかしたら引退組の誰かは、
何年後かにプレイヤーとして再会を果たしているかもしれない。
そういえば、
アイボリーカップ7回目で店主が2度目の優勝をした時だけ、
α版の《象牙の杯》を用意出来なかったらしく、
「ごめん、あとで用意する。」
と言われたままもらっていない(笑)
アイボリーカップ主催のお二人様、
これ読んでたら次に会う時に用意してくださいね。
1回目の優勝の《象牙の杯》を今でも大事にとってあるんですよ!
2回目の優勝の《象牙の杯》を隣に置きたいんですから!
ではまた。
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束の間の邂逅
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