今回のお題は《気流の言葉/Words of Wind》。
オンスロートのお安いレア。
ほとんどトーナメントカードになった事がないが、
個人的にとても好きなカード。
(全くトーナメントカードにならなかったわけではない。)
今回はこのカードのEDHでの立ち位置と使い方。
《Words of Wind/気流の言葉》
コスト:2青
エンチャント
(1):このターン、次にあなたがカードを引く代わりに、
プレイヤーはそれぞれ自分がコントロールするパーマネントを1つ、オーナーの手札に戻す。
レア
能力は1マナ+自分のドローを置換して、
全プレイヤー(自分を含む)はパーマネントを1枚戻す。
単純にこれだけを見るとアドバンテージは全く得られない。
一見使い方がサッパリなカードだが、
結構な能力の高さでもあり、
組み合わせでかなりの強さを発揮するカード。
と言ってもオンスロート発売から15年も経っている。
使えるレギュレーションはヴィンテージ、レガシー、EDH。
このカードの主戦場はヴィンテージやレガシーではなくEDH。
もうEDH以外では使われないんじゃないか?というくらい。
まず、使い方というよりもルール。
このカードの1マナ起動はいつでも出来るが、
ドローが発生しない限りはパーマネントを戻す効果は起きない。
つまりは
5マナ払って5回起動したとする。
このターンにドローが発生すると、
最大5回まではそのドローが
「全プレイヤーはパーマネントを1枚戻す。」
に置き換えする事になる。
(置換効果が5回予定される。)
しかし、ドローが発生しないなら何も起きない。
2回だけドローが発生したら全員2枚パーマネントを戻す事になる。
当然の事ながら、
「このターン」と文頭に書いてあるので、
ターンを跨いだたら置換効果の予定も消える。
シンプルかつ最高なのは、
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》との組み合わせ。
過去にもこらむで説明を書いた事があるが、
ここでも再度書いておこう。
両方のカードを場に出してあるところから。
まず、《気流の言葉》を1マナで起動。
次に《師範の占い独楽》をタップ起動。
《師範の占い独楽》タップのドローが《気流の言葉》で置換される。
全プレイヤーはパーマネントを戻す。
この時、自分は戻すパーマネントに《師範の占い独楽》を選択。
《師範の占い独楽》のタップしてドローする能力は、
最後に《師範の占い独楽》をライブラリーの上に置くとあるが、
《気流の言葉》の戻すパーマネントで《師範の占い独楽》を選択すると、
《師範の占い独楽》をライブラリーの上に置くという部分は無視される。
もちろん上記の起動で戻すパーマネントに《師範の占い独楽》以外を選択すると、
《師範の占い独楽》はライブラリーの上に行くので注意。
上記の手順の後は、
手札に戻った《師範の占い独楽》を1マナでプレイ。
《気流の言葉》を起動、《師範の占い独楽》をタップ・・・
以下繰り返し。
必要なマナは、
《気流の言葉》の起動に1マナ
《師範の占い独楽》のプレイに1マナ
たったの2マナだ。
2マナで自分以外の全プレイヤーにパーマネントを戻せと言えるという事。
4マナあれば2枚、8マナあれば4枚である。
EDHで序盤には活躍しにくいものの、
マナ数がある程度自由になる後半では猛威を振るう。
特に指定コストもない無色2マナで良いので、
兇悪な組み合わせだ。
しかも、このコンボの厄介なところは、
なんらかのドロー手段があると止める事も難しい。
どういう事なのかと言うと、
《気流の言葉》と《師範の占い独楽》が置いてある状況で、
数マナを余らせてあるとしよう。
このどちらかのパーマネントを壊す事は出来るだろうか。
条件が揃えば別だが、
普通では壊せないのである。
破壊する呪文や能力に対応して、
《気流の言葉》起動とドロー手段で、
破壊の対象となったパーマネントを戻してしまえばよいのである。
正確な言い方では、
《気流の言葉》や《師範の占い独楽》だけでなく、
どのパーマネントであろうと破壊する事が難しい状況になる。
そもそも《師範の占い独楽》がドロー手段なので、
単純にこの2種が並んでいるだけでも破壊は難しい。
これが《気流の言葉》の基本中の基本。
EDHでは他のカードとの組み合わせがさらにある。
《寺院の鐘/Temple Bell》
《潮吹きの暴君/Tidespout Tyrant》
《精神力/Mind Over Matter》
各種の無限ドロー、無限マナコンボとの組み合わせ
あまりにも数が多すぎるので、
これらの説明は後述を除いて省いてしまうが、
一言で片付けると
「デッキに入れるものに困ったらとりあえずに突っ込め」
と言っても良い程に《気流の言葉》は強い。
どうして強いのか、という一面だけ説明しておきたい。
まず、青の特色として、
パーマネントを戻す以外に戦場のカードへ干渉出来るものがとても少ない。
《気流の言葉》のようにパーマネントでパーマネントに干渉出来るカードは稀である。
EDHでは基本、対戦相手が3人であり、
その都度、相手が何をしてくるかなどわかったものではない。
99枚+ジェネラル1の100枚のデッキ×3人分、
合計300枚からは何が飛んでくるのか予想もつかない事もある。
MTGのデッキで何にでも対処出来るデッキはとても難しい。
何にでも対処出来るカードもない。
対戦相手が3人いたら、なおのこと対処の難易度は上がる。
しかし、《気流の言葉》は一定量まで対処可能だ。
EDHの戦いにおいて、
困った時の頼れる1枚として、
これ程のカードはなかなか無い。
このカードの強みであり弱みは、
「プレイヤーはそれぞれ自分がコントロールするパーマネントを1つ、オーナーの手札に戻す。」
この一文。
戻すパーマネントは各プレイヤーが選ぶ。
この効果は対象をとらない。
対象をとらないという事は、
プロテクション、呪禁、被覆を無視して戻せる事は強み。
望んだパーマネントを戻せるとは限らない事が弱み。
そして、複数回起動で複数枚のパーマネントを戻せる事は強み。
自分のパーマネントを戻す場合は、
セットランドしていないなら1枚は土地、
あとは0マナアーティファクトや、
自身のコストよりもマナを出せるマナアーティファクトなら、
そのまま展開し直せるだけに無駄がない。
あとはドロー手段次第での連続起動で、
対戦相手だけ困る状況は案外と作れる。
連続起動で自分は土地、マナアーティファクトを戻し、
展開し直した時に《Wheel of Fortune》や《Timetwister》も強い。
マナに余裕があればさらにこの《Wheel of Fortune》や《Timetwister》の7ドローも、
何回かはドローを止める選択肢も面白い。
状況次第では対戦相手だけ場をリセットされた状態になる。
使い方は少々難しいが、
使っていてかなり戦略的なカードである事は間違いない。
EDHでは連続起動で
「ああ、もうこれは勝てない。」
という状況に全員を追い込む事で、
全員を倒せないものの、全員を投了させる事がある。
ダメージを与えるわけでもなく、
ライブラリーアウトをさせるわけでもないが、
このカードはフィニッシャーになる。
・困った時の対応手段。
・特定カードとのコンボも含めてフィニッシャーになる。
という2点は採用するに十分なカードだ。
この2点はどちらもEDHならではの強さと言っていい。
当たり前の話だが、
レガシーやヴィンテージよりも長期戦になりやすい環境なので、
こういった戦い方や手段が有効になる。
おまけで言っておくと、
条件を満たせば一応フィニッシャーにはなる。
例えば、
色マナ無限状態
《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》
があれば即座に勝てる。
色マナ無限なので、
《気流の言葉》を1000回ほど起動しておく。
《ジェイス・ベレレン》を-1で起動。
対戦相手はパーマネントを何か戻し、
自分は《ジェイス・ベレレン》を戻す。
《ジェイス・ベレレン》をプレイして、
対戦相手のパーマネントが0になるまでは-1起動と戻すを繰り返す。
対戦相手のパーマネントが0になったら+2起動に変更。
すると途中で全員のライブラリーだけが0になるので勝ち。
ただし、対戦相手がピッチ系のカウンターを撃つ事もあるので、
それだけは警戒する必要がある。
また、
《永遠の証人/Eternal Witness》+追加ターン呪文
で簡単に無限が出来るのも魅力的だ。
ドローステップのドローを飛ばして、
自分は《永遠の証人》を手札に戻して、
出し直して墓地にある追加ターンを回収。
これを繰り返すだけで対戦相手の全パーマネントは戻せる。
他に勝ち手段が無い状況でも、
全パーマネントを戻すところまでやる価値は十分にあるし、
それだけで普通は負けないだろう。
ただし、最低でも
《永遠の証人》で1緑緑
追加ターン呪文で3青青
《気流の言葉》起動で1
合計:5青青緑緑が必要。
これだけ揃うには序盤は少々難しい。
さらにコストは重たくなるが、
《古術師/Archaeomancer》
《記憶の壁/Mnemonic Wall》
のどちらかで青単のままでも出来る。
そしてこれまた青緑だが、
《森の知恵/Sylvan Library》とも相性が良い。
《森の知恵》の能力は
《Sylvan Library/森の知恵》
コスト:1緑
エンチャント
あなたのドロー・ステップの開始時に、あなたは追加のカードを2枚引いてもよい。
そうした場合、あなたの手札にあるこのターン引いたカードを2枚選ぶ。
それらのカードそれぞれについて、
4点のライフを支払うか、そのカードをあなたのライブラリーの一番上に置く。
レア
となっている。
《気流の言葉》を3度起動しておくと、
ドローステップの1枚+《森の知恵》の追加2枚
が全て飛ばされてパーマネントを3枚戻す事になる。
《森の知恵》のテキストの後半部分はそもそもカードを引いていないので、
「あなたの手札にあるこのターン引いたカード」が無い。
そのため、1枚につき4点ライフを払うか戻すかという選択も無い。
単純に言って3マナ払って全員がパーマネントを3枚戻して終わりである。
この時の3マナの払いが《魔力の櫃/Mana Vault》だと、
タップ状態になっている《魔力の櫃》を戻せば良い。
自分の動きにも無駄が少なく相手だけを困らせられるだろう。
EDHでの《永遠の証人》と《森の知恵》は、
かなりの確率で採用される優秀カードなので、
これらとの組み合わせを考えても、
《気流の言葉》はノータイムで採用しても良いほどだ。
この《気流の言葉》というカード、
これだけEDHで優秀な一面を持つものの、
採用している人の数は案外と多くない。
単純に知られていないだけだろうか。
青いデッキならば一度くらいお試しあれ。
少なくとも「使い物にならない」という結論にはならないはずだ。
ではまた。
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Words of Wind/気流の言葉
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