今回はアイスエイジ編。
MTG史上初の冠雪カードが登場するセットにして、
エキスパンションセットに「スターター」が出るのもここが初。
スターターって何?
という人も多いかもしれない。
スターターは1つ60枚入りで、
・レア3枚
・アンコモン9枚
・コモン26枚
・土地22枚
・MTGルール説明書
で構成される小さな箱。
当時、冠雪土地はスターターからしか入手出来なかった。
基本土地スロットの中に混じって冠雪土地が入っていて、
冠雪土地の絵柄は各基本土地1種ずつ。
ブースターからは一切基本土地や冠雪土地は出ない。
この頃のMTGプレイヤーは
「リバイズドやアイスエイジのスターターを買わないと、
基本土地をまとまった数で入手できない。」
という状態だった。
ゲームをスタートするにあたって、
まずスターターを買うというのが基本だった。
(その後も第4版やミラージュでも同じ状態が続く。)
MTG黎明期では現在よりも平均年齢も低かったため、
学生がゲームを始めた直後、
「基本土地が足りない。
お前、赤やるだろ?《山/Mountain》あげるわ。
俺、黒やるから《沼/Swamp》くれ。」
なんていう交換が成立する事も当たり前だった。
こうやって考えてみると、
近年のMTGはいかに恵まれているかがよくわかる。
この時代にこのスタートで心折れずにプレイした人達には称賛を贈りたい。
さて、お話のメインにいこう。
●アイスエイジ(1995年6月20日発売)
MTG史上初の冠雪カード登場セットと言うわりに、
冠雪に関するカードでおさえておくべきものがほとんどない。
というのも、
それ以外が強いのでどうしようもない。
《Illusions of Grandeur》
《悪疫/Pox》
《ネクロポーテンス/Necropotence》
ダメージランド5種
が強いうえに、
コモン、アンコモンもかなり侮れない。
アンコモンでは、
《氷の干渉器/Icy Manipulator》
《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
が再録され、
《Demonic Consultation》
という色々な使われ方をするチューターが登場。
《Demonic Consultation》
コスト:黒
インスタント
カード名を1つ選ぶ。
あなたのライブラリーのカードを上から6枚追放する。
その後、選ばれた名前のカードが公開されるまで、
あなたのライブラリーの一番上のカードを公開し続ける。
そのカードをあなたの手札に加え、
これにより公開された他のすべてのカードを追放する。
アンコモン
《Demonic Consultation》はトーナメントで何度も使われ、
「《Demonic Consultation》!沼!」
という宣言をよく聞いた。
デッキに残り3枚の《生命吸収/Drain Life》を宣言して、
そのままライブラリーアウトした人も見た事がある。
アイスエイジ発売当時も話題になったが、
今もなお使われる事があるアンコモンには、
《ズアーの宝珠/Zuran Orb》もある。
《ズアーの宝珠/Zuran Orb》
コスト:0
アーティファクト
土地を1つ生け贄に捧げる:あなたは2点のライフを得る。
アンコモン
ヴィンテージやEDHで無限を決める手段の1つとして使われている。
《白き盾の騎士団/Order of the White Shield》
《ストロームガルドの騎士/Knight of Stromgald》
の2種は今はトーナメントで見なくなったが、
当時は12ナイトと呼ばれるデッキで採用された。
《白き盾の騎士団/Order of the White Shield》
コスト:白白
クリーチャー 人間(Human)・騎士(Knight)
プロテクション(黒)
(白):白き盾の騎士団はターン終了時まで先制攻撃を得る。
(白)(白):白き盾の騎士団はターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。
2/1
アンコモン
《ストロームガルドの騎士/Knight of Stromgald》
コスト:黒黒
クリーチャー 人間(Human)・騎士(Knight)
プロテクション(白)
(黒):ストロームガルドの騎士はターン終了時まで先制攻撃を得る。
(黒)(黒):ストロームガルドの騎士はターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。
2/1
アンコモン
あまり一般的ではないが、
オールドスクールをひとかけら広げた遊び方では、
アイスエイジとホームランドまでOKというルールもある。
それを加味するならこの2騎士は持っていても良い。
特に白のほうは絵もかっこいい。
アンコモンはまだ続く。
《Icequake》
《Thermokarst》
という黒と緑の土地破壊カード
《Anarchy》という赤の白対策カード
《Stench of Evil》という黒の白対策カード
《紅蓮地獄/Pyroclasm》という赤のお手軽除去カード
《灰燼のグール/Ashen Ghoul》というリアニメイト生物
《Dance of the Dead》というリアニメイト呪文
土地単に使われる《Glacial Chasm》という土地
これらも中々にポイントが高い。
このあたりも唯一無二カードと言えるので、
おさえておくのは悪くない。
そして近年大きく評価されているのが、
《ウルザのガラクタ/Urza’s Bauble》。
これもアイスエイジが初。
さらに当店のEDHデッキ紹介で紹介して以来、
やたらに売れていくアイスエイジの最高アンコモン、
《Jeweled Amulet》。
このカードはEDHの存在で一気に需要が変わった。
《Jeweled Amulet》
コスト:0
アーティファクト
(1),(T):Jeweled Amuletの上に蓄積(charge)カウンターを1個置く。
この起動コストとして支払ったマナのタイプを記録しておく。
Jeweled Amuletの上に蓄積カウンターが置かれていないときにのみ起動できる。
(T),Jeweled Amuletから蓄積カウンターを1個取り除く:
最後に記録されたタイプのマナ1点を加える。
アンコモン
これだけでは終わらず、
アイスエイジには
《自然の知識/Nature’s Lore》が初出。
(アイスエイジではアンコモン)
《自然の知識/Nature’s Lore》
コスト:1緑
ソーサリー
あなたのライブラリーから森(Forest)カードを1枚探し、そのカードを戦場に出し、
その後ライブラリーを切り直す。
アンコモン
コモンもコモンで優秀も優秀。
《フィンドホーンのエルフ/Fyndhorn Elves》
《紅蓮破/Pyroblast》
《水流破/Hydroblast》
《渦まく知識/Brainstorm》
《先触れ/Portent》
《ほくちの壁/Tinder Wall》
《オークの木こり/Orcish Lumberjack》
《逆刺の六分儀/Barbed Sextant》
《Burnt Offering》
《Mystic Remora》
《火葬/Incinerate》
といったカードの初出はアイスエイジで、
《繁茂/Wild Growth》
《対抗呪文/Counterspell》
《石の雨/Stone Rain》
《暗黒の儀式/Dark Ritual》
《魔力消沈/Power Sink》
も再録されている。
このあたりのカードも「とりあえず持っとけ」と言えちゃう強さがある。
そして超がつくマイナーカードが2つ。
《Clairvoyance》
《Ray of Erasure》
の2枚。
カードの効果を見ると結構驚く。
《Clairvoyance》
コスト:青
インスタント
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーの手札を見る。
次のターンのアップキープの開始時に、カードを1枚引く。
コモン
こちらは《のぞき見/Peek》や《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》の原型。
《Ray of Erasure》
コスト:青
インスタント
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを1枚切削する。
次のターンのアップキープの開始時に、カードを1枚引く。
コモン
こちらは《思考掃き/Thought Scour》の原型。
何が驚きかと言うと、
「アイスエイジには青の1マナドロー呪文が、
コモンに4枚もあり、その内3枚がインスタント。」
という事実。
この2種のカードは使い道はEDHがメイン。
《まどろむ島、アリクスメテス/Arixmethes, Slumbering Isle》
《生ける卒論、オクタヴィア/Octavia, Living Thesis》
あたりのジェネラルで採用の価値アリ。
最後にもう1枚。
《道化の帽子/Jester’s Cap》を。
《道化の帽子/Jester’s Cap》
コスト:4
アーティファクト
(2),(T),道化の帽子を生け贄に捧げる:
プレイヤー1人を対象とする。
あなたはそのプレイヤーのライブラリーからカードを3枚探し、それらを追放する。
その後、そのプレイヤーはライブラリーを切り直す。
レア
それほどに使われなくなったカードではあるのだが、
このカードをなめていると痛い目に遭う。
ヴィンテージでは勝ち手段を狭めたデッキが多いため、
デッキからカードを3枚追放されるだけで詰むデッキもある。
このカードをヴィンテージで使い、
2ターン目に起動したら投了された事が今までに何度もあった。
アイスエイジ、カード名思いつくままに挙げてみたけれども、
かなりすごいセットだ。
今をもってEDHやヴィンテージ、レガシーで活躍するカードの多いこと多いこと。
自分で書いてて驚いた。
このセット本当に冠雪はどうでもいいな。
あえておさえるなら冠雪の基本土地おさえておくだけ。
最初期の冠雪土地はアンティーク感があって良い。
お次はホームランド。
ではまた。