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MTGはいつまで続くか?(あれからさらに5年後)

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参考こらむ:お客様からの質問:MTGはいつまで続くか?
参考こらむ:MTGはいつまで続くか?(あれから5年後)

最初にこのお題で書いた時から10年。
5年前の文末でも次に書くのは5年後と書いたので、
これを今年の〆に。
この5年のMTGと今後のMTGの両方を書いていこう。

5年前同様Cardshop SerraもMTGも滅びなかった。
ちなみにCardshop Serraは10年の間で2~3回滅びかけた。

前回で話題に出していたので、
今回も同じ切り口で書いていこう。


2010年の《Underground Sea》の値段は約7000円だった。
2015年の《Underground Sea》の値段は約40000円だった。
2020年の《Underground Sea》の値段は約85000円だ。
10年で10倍以上。
(上記はRevised版の価格。)
下手な株より効率が良い《Underground Sea》。


2010年の《Mishra’s Workshop》の値段は約35000円だった。
2015年の《Mishra’s Workshop》の値段は約10万円だった。
2020年の《Mishra’s Workshop》の値段は約35万円だ。
こっちも10年で10倍。
やっぱり株より紙か。

ついでにみんな大好きな《Black Lotus》の事も書いておこう。


ほぼ間違っていないと思う記憶だが、
2010年のUnlimited版《Black Lotus》の値段は約10万円だった。
2015年のUnlimited版《Black Lotus》の値段は約50万円だった。
2020年のUnlimited版《Black Lotus》の値段は約130万円だ。
こっちも10年で10倍超え。
(こちらは状態EX程度を目安。)
そろそろ常人が手を出せない金額になってきている。


5年前の2015年では、
精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor
求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker
ダク・フェイデン/Dack Fayden
の3種がヴィンテージで活躍するプレインズウォーカーだと書いてある。


今では、
王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns
レンと六番/Wrenn and Six
覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils
時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler
大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator
がここに加わった。
随分と大きな環境の変化だ。
ヴィンテージとレガシーのプレイ人口は明らかに増えた感があり、
それ以上にEDHをプレイする人口は増えた。

さて、本題の「MTGはいつまで続くか?」という話題について。

・MTGが生まれて25年を超えた。
・プレイヤーは減っているようには思えない。
・EDHやレガシー、ヴィンテージに参入するプレイヤーがさらに増えた。
・古いカードの相場は5年前より上昇傾向にある。
・新しいセットも安定してリリースされている。
・他TCG含めて10年選手が生き残っている。
・Cardshop Serraは15年以上経営出来ている。

と、ここまでは良い。
5年前に書いた

・今のところゲームバランスを著しく崩壊させる事はやらかしていない。
・禁止カードを乱発させてはいない。

という項目が消滅した。

MTGがいつまで続くか?が非常に不安になるところだ。

説明不要とは思うが一応記録として書いておこう。
以前の記事が2015年11月26日作成だったので、
2016年からの禁止改定を。

2016年1月22日:
花盛りの夏/Summer Bloom》モダンで禁止
欠片の双子/Splinter Twin》モダンで禁止

2016年4月8日:
ウギンの目/Eye of Ugin》モダンで禁止
祖先の幻視/Ancestral Vision》モダンで禁止解除
弱者の剣/Sword of the Meek》モダンで禁止解除
磁石のゴーレム/Lodestone Golem》ヴィンテージで制限

2017年1月20日:
約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》スタンダードで禁止
密輸人の回転翼機/Smuggler’s Copter》スタンダードで禁止
反射魔道士/Reflector Mage》スタンダードで禁止
ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》モダンで禁止
ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》モダンで禁止

2017年4月24日:
師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》レガシーで禁止
ギタクシア派の調査》ヴィンテージで制限
噴出/Gush》ヴィンテージで制限

2017年4月28日(緊急改定)
守護フェリダー/Felidar Guardian》スタンダードで禁止

2017年6月19日:
霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》スタンダードで禁止

2017年9月1日:
アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》ヴィンテージで制限
僧院の導師/Monastery Mentor》ヴィンテージで制限
ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth’s Bargain》ヴィンテージで制限解除

2018年1月19日:
霊気との調和/Attune with Aether》スタンダードで禁止
ならず者の精製屋/Rogue Refiner》スタンダードで禁止
暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon》スタンダードで禁止
ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins》スタンダードで禁止

2018年2月19日:
精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》モダンで禁止解除
血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》モダンで禁止解除

2018年7月6日:
死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》レガシーで禁止
ギタクシア派の調査》レガシーで禁止

2019年1月25日:
クラーク族の鉄工所/Krark-Clan Ironworks》モダンで禁止

2019年7月12日:
黄泉からの橋/Bridge from Below》モダンで禁止

2019年8月30日:
暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon》スタンダードで禁止解除
甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis》モダンで禁止
信仰無き物あさり/Faithless Looting》モダンで禁止
石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》モダンで禁止解除
大いなる創造者、カーン》ヴィンテージで制限
神秘の炉/Mystic Forge》ヴィンテージで制限
精神的つまづき/Mental Misstep》ヴィンテージで制限
ゴルガリの墓トロール》ヴィンテージで制限
Fastbond》ヴィンテージで制限解除

2019年10月25日:
死者の原野/Field of the Dead》 スタンダードで禁止

2019年11月22日:
王冠泥棒、オーコ》スタンダードで禁止
むかしむかし/Once Upon a Time》スタンダードで禁止
夏の帳/Veil of Summer》スタンダードで禁止
レンと六番》レガシーで禁止
覆いを割く者、ナーセット》ヴィンテージで制限

2020年1月14日:
オパールのモックス/Mox Opal》モダンで禁止
王冠泥棒、オーコ》モダンで禁止
マイコシンスの格子/Mycosynth Lattice》モダンで禁止

2020年3月10日:
むかしむかし/Once Upon a Time》モダンで禁止
死の国からの脱出/Underworld Breach》レガシーで禁止

2020年5月18日:
夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》レガシーで禁止
黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker》レガシーで禁止
夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》ヴィンテージで禁止

2020年6月1日:
裏切りの工作員/Agent of Treachery》スタンダードで禁止
創案の火/Fires of Invention》スタンダードで禁止

2020年7月13日:
アーカムの天測儀/Arcum’s Astrolabe》モダンで禁止

2020年8月3日:
荒野の再生/Wilderness Reclamation》スタンダードで禁止
成長のらせん/Growth Spiral》スタンダードで禁止
時を解す者、テフェリー》スタンダードで禁止
大釜の使い魔/Cauldron Familiar》スタンダードで禁止

2020年9月28日:
自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》スタンダードで禁止

2020年10月12日:
創造の座、オムナス/Omnath, Locus of Creation》スタンダードで禁止
幸運のクローバー/Lucky Clover》スタンダードで禁止
僻境への脱出/Escape to the Wilds》スタンダードで禁止

主要なフォーマットであるスタンダード、モダン、レガシー、ヴィンテージだけに絞ってもこの量。
誰がこんな数の禁止を予想出来ただろうか。
頭痛がするレベルで禁止、制限が乱発し、
ゲームバランスが著しく悪くなった事が一目でわかると思う。

特にこの2020年はひどく、
MTG専門のプレイヤー、コレクター、ショップオーナーの立場として、
2020年はMTG史上最悪の年だったと断言出来る。

・不要なコラボ。(Secret Lair x The Walking Deadやゴジラシリーズ)
・禁止カードの乱発。
・禁止カードの制定までの最速日数を更新。(《創造の座、オムナス》発売から17日。)
・不要な両面カードを新刷。
・印刷の粗雑さがより酷くなった。
・当分は作らないと言ったマスターズシリーズ「ダブルマスターズ」の発売。
・ゲームバランスの崩壊。
・ルールを捻じ曲げる事になった相棒システムの実装。

これらの多くは、
プレイヤーのネットでのブログやTwitter、
そしてアメリカの情報サイトの大手Goldfishさんのお怒りのブログなど、
そこらじゅうで語られている。
参考note:Goldfishの声明

MTGについて、
ここまでの酷評が書かれたのは前代未聞と言っていいだろう。

トーナメント環境についても絶対にそうだとは言わないのだけれども、
相当に酷い。
2008年の時点でも
「ある程度の使い方さえわかっていれば、
 誰がデッキを使ってもそんなに変わらない。」
なんて話があったくらいだが、
今はそれがもっと酷くなった。
その最たるものは言うまでもなく《王冠泥棒、オーコ》だが、
それ以外にもそういったカードは多い。
単純に言って、
「そのカードに対応しないと負けるので、
 対応せざるを得ない。」

というカードが増えた。
これはどういう事かと言うと、
プレイヤーの強い弱いなど無関係に、
「強いカードを叩きつけているだけで勝てる。」
(強いカードを叩きつけられて対応出来なければ負ける。)

という状況が増えたという事。
もちろん、カードゲームの本質として、
強いカードに対応出来なければ負けるのは当たり前なのだが、
そのカードへの対応方法が限られ過ぎていると、
それはゲームバランスの崩壊に繋がる。


わかりやすく例を出すと、
王冠泥棒、オーコ》を、
意志の力/Force of Will》や《否定の力/Force of Negation》で守られてしまうと、
結構なデッキがお手上げだ。

とりわけここ数年は青と緑の優遇は極端過ぎる。
プレインズウォーカーの強さも目立つのは青と緑だ。

もともとプレインズウォーカーというシステムは、
かなり慎重に作らないといけないシステムだ。
理由は明確で、
「能力の使用でアドバンテージを稼ぎやすいシステムゆえに、
 一方的なアドバンテージを与え続けるようなカードは、
 トーナメント環境を著しく悪くする。」

という事。

簡単に言えば、
Aはプレインズウォーカーの能力を使用して+1のアドバンテージを得るとする。
Bはプレインズウォーカーを除去するために1枚のカードを使う。
Aはプレインズウォーカーを除去される。
この条件時に、
Aはプレインズウォーカーの能力使用の+1のアドバンテージ分だけ得をする。
1対1にはならないようになっている。
必ずプレインズウォーカーを使った側が得をする。

カードパワーの強すぎるプレインズウォーカーが、
ここ数年で制限、禁止を食らった事でも、
これが小さくない問題である事は間違いない。
それにレガシーやヴィンテージで活躍するプレインズウォーカーも増え、
レンと六番》のようにレガシーで禁止されてしまうプレインズウォーカーも出た。
(2019年11月22日にレガシーで禁止。)
レガシー初のプレインズウォーカー禁止だった。
明らかに作り方が悪い。

ここに加えて印刷が悪いという話も大きい。
偽物もこの5年でばんばん出回った。

とあるショップオーナーが
(一応言っておくと店主ではない。)
「これ偽物だから破く。」
と言って破ったカードが本物だった事があった。

その破ったカードはここ5年以外に発売されたカードだ。
こんな事になってしまうのは印刷の粗雑さが悪い。

他にも個人取引で偽物をつかまされたケースが増えた。
メルカリ、ヤフオク、Twitterでの個人取引で、
偽物をつかまされたから警察に行きたいという相談もいくつも受けた。

こういった事情の背景を考えてみよう。

偽物を作る側としては、
「本物が粗雑に作られている方が楽」
に決まっている。
まして最近のカードが粗雑に作られているのだから。
本物を作る側も偽物を作る側も似たような印刷技術で作る。
その条件下で本物を作る側が粗雑で、
偽物を作る側がなるべく丁寧に作ってしまうと、
素人では見抜けない。
新規プレイヤーは偽物かどうかなど考えもしないでカードを買う。
いつかどこかで「それ偽物」と指摘されない限り、
偽物を本物だと思いながら使うだろう。

そんな環境下で、

・売上を上げるために不要なコラボ商品を作る。
・売上を上げるためにやたらに強いカードを作る。
・売上を上げるために発売速度を上げる。

こんな事をしたらそこらじゅうで荒れて当然。

ただ、MTGアリーナの配信や広告の効果か、
プレイヤーは決して減ってはいない感じはあるし、
古いカードの高騰化はニーズがあってこそのもの。
滅びゆく文化に対して価格は高騰しない。
それを考えれば、
今から5年先、10年先でもMTGは滅びないだろう。
もし、いつかMTGが滅びるという前提ならば、
間違いなくこの5年はMTGの寿命を縮めた5年だった。

そのくらいに酷い5年だった。

5年前に、

Tundra》や《Taiga》はいくらになっているのだろう。
タルモゴイフ/Tarmogoyf》は一線級の活躍をしているだろうか。
精神を刻む者、ジェイス》に並ぶ兇悪なプレインズウォーカーは登場しているだろうか。

こんな事を書いていた。
デュアルランドは単純にレガシー、EDH、ヴィンテージ需要で高騰。
タルモゴイフ》は・・・あまり見なくなった。
新カードが極端過ぎて《タルモゴイフ》の需要が減った感じがする。
ジェイスに並ぶプレインズウォーカーは登場し過ぎて酷い状態になった。
せいぜい登場しても1枚くらいだと思っていた。

5年前は文末で
「色々な事が楽しみだ。」
とも書いたが、
これから先の5年を期待出来ない程、
2016~2020年は酷かった。
カードの価格の高騰だけ見れば、
MTGの寿命はまだまだあると感じられるが
あまりにも失敗の多い時間だった。

最後に。

ここで1つ別のお話をしたい。
この1年で店主が見て感じた事。
それはプレイヤーの引退について。
当たり前の話だけれども、
ショップをやっていれば、1年に何度かプレイヤーの引退をみる。
長くこの世界にいれば引退者の引退寸前までのMTGへの熱意は、
そのカード資産額や残されたデッキやカードの量やサプライの量でわかる。

ああ、2~3年やってやめたかな?くらいの人なら、
「長続きしなかったんだな。」
で終わり。

けれども時々いる、かなりのレベルの方の引退。

レガシーかEDHかヴィンテージをやっていて、
カード資産も相当な買取額になり、
残されているデッキからもその真剣さが伺える。
ざっと見ただけでMTG歴15年以上だとわかるような人。
中にはコンプリートセットを綺麗に作っている人も。

「こんなに熱意を持ってMTGをやってきたんだ!」
とわかる人の引退は、
「最後にCardshop Serraを選んでくれてありがとう。」
という感謝の気持ちとともに、
「これだけの熱意を持っていた人の心を折ってしまう程、
 今のWotC社は間違っているのかもしれない。」

という悲しい気持ちがあり、
とても複雑な気持ちになる。

もちろん他の事情で引退する人もいるのだろう。
必ずこんな気持ちでMTGから離れるわけではない。
けれども誰かはこの気持ちで引退したのだと思うと、
悲しい気持ちになる。
WotC社はこんな引退者を出させてはならない。
MTG歴10年を超えるような人達は、
どれだけMTGを支えてきたのか。
そういう事を考えて欲しい。
MTG歴10年を超える人達は、
どれほどの時間をMTGに費やしてきたか。
とても大切で貴重な時間だ。
それだけの情熱を持ってプレイしてきた人の心を、
作り手が壊すような事はあってはならない。

WotC社はこの数年を反省すべき過ちと認めてくれるだろうか。
売上だけが目標であれば反省などしないだろう。
店主は自分の死後もMTGが続いて欲しいと思っているし、
そうするための個人的努力をしている。
何年もした先にこの紙を好きでいてくれる人が多くなって欲しいと思っている。
どうかWotC社はMTGの寿命を縮めるような行為をしないで欲しい。
世界で一番最初のTCGを作り、
剣と魔法のファンタジーが好きな人を沢山魅了してきたゲームに誇りを持ち、
一時の売上にだけ目が行く事なく、
30年、50年先を見据えた芸術品を作る姿勢であって欲しい。

次にまたこの話題で書く時は2025年になるだろうか。
明るい気持ちで書けるような5年になる事を祈ろう。

これを持って2020年のこらむは〆。
読んでくださった方、ありがとうございます。
来年もよろしくお願いします。

ではまた。


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