今回は少し昔に関わった、
偽物のせいで人生を狂わされてしまった人の話だ。
ある日、問い合わせがあった。
「兄の遺品をお売りしたいのですが、
調べてみたところ偽物が多いようなのです。
一度見ていただけないでしょうか。」
と。
察するにご遺族の妹さんか弟さんが、
お兄さんの遺品整理をしていた中でカードが出てきたという事だろう。
そしてご自身で調べた限りで偽物の疑いのあるカードがあると。
このお問い合わせの方は直接お店に来るとのことで、
日を決めていただき、来る事となった。
当日。
お店に来られたのは女性の方。
つまりは妹さんだった。
早速カードをチェックしてみる。
100枚以上偽物。
初めてだ、こんな枚数の偽物。
「これ、ほとんど偽物です。」
「やはりそうですか。」
「やはりという事はお調べになられましたか?」
「兄が時々、『また騙された!』と言っていましたので。」
「またという言い方から複数回ですね。」
「はい。」
その後詳しく事情を聞いてみた。
お兄さんは不慮の事故で亡くなられた。
生前に何度も偽物を掴まされていただけではなく、
お兄さんは知的障害者でもあったため、
何度も掴まされる偽物に対し、
これといった対抗手段を持てなかったらしい。
知的障害者だから何度も騙されながらも、
騙された事を忘れてしまい、
また同じ人から買う・・・といった事があったのだそうだ。
そして、
結果的に破産してしまっていた。
なんとも酷い話だ。
取引をしていた偽物業者も、
相手が知的障害者であった事など認識していないだろう。
だからといって許されるなんて事は1ミリもない。
相手が普通の人であろうと、知的障害者であろうと騙しても構わないなんて事はない。
それにしても破産とは初めて聞いた話だった。
MTG歴四半世紀超えの店主は、
今までに色々な人を見てきたし、
自身は相当な金額をMTGにかけてきた。
しかし、破産は自分にも他人にもさすがに無かった。
この被害者の方は死因だけは不慮の事故だが、
破産までのつらい人生は明らかに偽物業者のせいだ。
バタフライ・エフェクトのような話になるけれども、
偽物業者がこの人を騙さなければ、
その不慮の事故すら無かったかもしれない。
そこまでは突っ込む話ではないにせよ、
偽物業者が人を破産に追い込んだというところだけは間違いない。
純粋にMTGを楽しみたかった人であっただろう。
その人をこんなにも傷つけ、破産にまで追い込む。
最低の所業だ。
今も偽物業者は後を絶たない。
「代用カードです!」
「スリーブのおまけです!」
「専門じゃないのでノークレーム・ノーリターンでお願いします!」
色々な言葉を尽くして人を騙し、
偽物を掴ませようとする馬鹿共。
代用カードだと嘯いたところで、
やっている事はただの犯罪だ。
買う方は犯罪者ではないが、
「偽物と知って買う」
というのは善人とは言えないだろう。
いつだったか、
お問い合わせで、
「代用でデッキ組んでもいいんじゃないの?」
のような質問があったが、
ストレートに言っておきたい。
代用でデッキを組む事は悪だ。
沢山の考え方があるので、
一概に言いにくいのだが、
現状、個人取引や匿名取引は本当にトラブルの元になっているし、
偽物の温床にもなっている。
「売るにしても、買うにしても信用あるところで本物を買って。」
「偽物業者に1円のお金も落としてはいけない。」
としか言えない。
皆様、今回のような被害者を出さないためにも
・偽物は買わない。
・個人取引や匿名取引は気をつけて行う。
・ネットオークション等で見つけたら即通報。
こういった事をどうか覚えておいてほしい。
ではまた。
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