Twitterにてとあるツイートをきっかけに様々な意見が出ている。
今回は店主なりにこれに対して回答を出したいと思う。
とあるツイートとは以下のもの。
Over the past few years, Standard play has dried up in many stores.
I have my own list of possible reasons,
but I’d love to hear from you about your store community.
Why has sanctioned Standard play declined relative to other formats in your store?
ここ数年、多くの店舗でスタンダードがプレイされることが減少しています。
考えられる理由はいくつかありますが、
ぜひ、あなたの店舗コミュニティの意見をお聞きしたい。
他のフォーマットに比べスタンダードの公式大会が減少したのは何故ですか?
引用:Aaron Forsythe氏のTwitter
Over the past few years, Standard play has dried up in many stores. I have my own list of possible reasons, but I’d love to hear from you about your store community. Why has sanctioned Standard play declined relative to other formats in your store?
— Aaron Forsythe (@mtgaaron) November 9, 2022
理由だらけでしょ、さすがに。
何故ですかって?
いくつかあるのでまとめていく。
1:プレイヤーの年齢層
MTGプレイヤーの平均年齢は年々上がっている。
年齢が上がるにつれて時間が無い人は増えていく。
理由は仕事であったり、結婚であったり、子育てであったり様々。
MTG以外の趣味を持たないというくらいの人でも、
こういったプライベート部分での忙しさはどうにもならない事が多い。
そんな中で2年でローテーションしてしまうフォーマットは厳しい。
これ当然のこと。
「新しいデッキを組み、練習してから大会に出よう。」
なんて思っていても、
練習する前に新しいセットが出ている
なんて人もいるだろう。
そんな状況だったら、
「無理、ついていけない。」
となるのも必然だ。
そうなってしまえば、
「自分のペースで遊べるレギュレーションに行こう。」
となるのは自然な流れ。
そうでないなら引退という選択肢になり、
それはそれで
「スタンダードがプレイされない理由。」
となり得るものだ。
2:シークレットレイアー
スタンダードも他のレギュレーションも無視して、
完全なる集金活動としか思われていない商品を乱発して、
「スタンダードの人口減ってるの・・・。
どうしてか教えて・・・。」
じゃないでしょ。
確かに独特なデザインを好む人も多い。
けれども、コレクターさんにとっては、
「買わないとならない、揃えないとならない苦行。」
にしかなっていない。
これは
「こんなものデザインされないなら買わないけれど、
商品として出てしまった以上、買わないとならない感じなので、
仕方なく買い続けている。」
という、
精神的にマイナス要因での購入者が一定数いる。
ただ、問題としてはそこではなく、
シークレットレイアーを出されれば、当然それを買う人がいるわけで、
ユーザーのお金は無限ではないのだから、
限られた使える範囲のお金でMTGをやっているのだ。
つまりはシークレットレイアーに突っ込んだ分だけ、
スタンダードをやりにくくなっている人だって一定数いるという事。
3:MTGA
「スタンダードやるだけならMTGAでいいよね。」
くらいで追いかけるのを諦めている人がいるという事。
MTGAならある程度なら無料で遊べるわけだし、
高額だけどスタンダード落ちしたら価値が下がるカードも、
MTGAなら別にどうでもいいと思えるわけだから、
スタンダードをこっちに移行させた人もいるだろう。
もちろん
「MTGAはMTGではない。
これは別のゲームだ。」
と割り切った上で遊んでいる人も。
(実際に完全に別ゲームだと思うが。)
この割り切りをしている人は紙のスタンダードをやっていない層に多いと思う。
結局は紙のスタンダードに触る理由はなくなっているという。
4:商品発売の速度
2023年の発売予定、実際はこれに加えて特殊セット+Secret Lair
これはシークレットレイアーを含める。
ただ、25年前の時点でも
「新エキスパンションの出る速度が早すぎる。」
と言われているのだ。
これに拍車をかけるようにして、
・シークレットレイアー
・統率者レジェンズ
・統率者デッキセット
・マスターズシリーズ
・Jumpstart
・アンシリーズ
…
と特殊な商品を作ってくるのだから、
ユーザー側は
「わけがわからん!」
「どれ買えばいいんだ?」
「もうお金が足りない!」
「全カード4枚ずつなんて無理!」
となっていく。
前述同様、ユーザーのお金は無限ではない。
商品数が増え、理解が追いつかず、
そんな中でもMTGをやめたくない人は、
やっぱり
「自分のペースで遊べるレギュレーション」
に着地していくのだと思う。
5:商品のレアリティ問題
太古の時代には神話レアなんて無かった。
神話レアが増えた段階で、
神話レアのトーナメントカードは入手困難になった。
最初に神話レアが登場した頃には、
「どちらかと言えばストーリー重視で、
それほど強いカードを出すつもりはない。」
といった姿勢だったらしいが、
出た当初からトーナメントカードに高額がつき始めていた。
そして、
この状態をもっともひどくしたであろうカードが、
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》だっただろう。
神話レアがデッキに4枚、
ベスト8で合計32枚使用されているなんてカードだったのだから。
ただ、
それ以降、特にこの数年はもっとこれがひどくなった。
絵柄は拡張枠だとか日本語版限定イラストだとか、
たった1種のカード名なのに、
同セットで何種ものイラストやバージョンが存在するようになり、
さらにコレクターブースター、セットブースターなどにパックも種類が増え、
純粋に「1枚ずつのコンプリートセット」を作るだけでも難易度が上がった。
そしてついには1枚ずつのコンプリートセットも作れない仕様が出てきた。
何を思ったかシリアルナンバーカードを作ったのだ。
愚行という他はない。
カードの希少度を自ら作る事で売上が見込めると思っているのが、
根本的にユーザーの好みや価値観とはズレている。
こういった事に対して、
「ついていけない。」
「そんなものを求めていない。」
となる人も当然増加した事は火を見るよりも明らか。
新商品はほどほどにして、
その人なりにモダンだったりレガシーだったり、
やろうと思えるレギュレーションのシングルカードにお金を使うのが自然な流れだ。
(それさえもマスターズ等の特殊セットで我々は振り回されるわけだが。)
6:EDH、1つめの理由。
スタンダードのセットの中に思いっきりEDHを意識しているカードを作ったり、
(一例:「伝説のクリーチャー」が多い:DMU:41種、SNC:19種、NEO:32種)
EDHをゴリ押しして来た中で、
「スタンダードの人口減ってるの・・・。
どうしてか教えて・・・。」
じゃないでしょ。
個人的にEDH大好きだよ。
日本で一番布教したってくらい広めたと思うよ。
でもEDH嫌いな人だっているんだよ。
スタンダードしかやらない人だっているんだよ。
スタンダードセットの中でEDHをゴリ押しされて、
嫌気がさす人だっているんだよ。
それに、
EDHとスタンダードを両立させられない人だって多い。
自分の立場を考えてみてもそれはある。
「私はスタンダードのデッキは何でも組めるぞ。」
と言えなくはない。
ただし、お金が相当無くなると思うが。
やろうと思えばできる事は実際にやるかどうかとは別だ。
自分はスタンダードを諦めて、EDHを選んでいる。
7:EDH、2つめの理由。
EDHは遊びやすい遊び方だ。
前述のように嫌いな人もいる。
けれども気楽に入れる遊び方である事は否定出来ない。
何故ならどんなカードも1枚でいいのだから。
どんなカードも1枚だけあれば良くて、ギスギスした競技性も回避可能。
前述のように平均年齢が上がっていく中では、
別に競技性を求めなくなっていく人も増える。
そういう人達がスタンダード落ちも気にせず、
トーナメントカードを4枚揃える事にも必死にならなくても良い遊び方、
それがEDHという世界だ。
と言っても正しいくらいだろう。
WotC社自身でEDHを推してしまったのだから、
これはこれでスタンダード人口が減るのは当然と言えば当然。
EDHと並行して増やしたかったのなら、
パイの大きさを変える努力が必要だ。
8:今のカードの信用。
印刷がとにかく粗いとセットが出る事に話題になる。
初期傷は当たり前のようにあると常に言われてしまっている。
つまりはWotC社の信用はこういう点において落ちている。
ユーザーの目は厳しく、
「コレクターブースター産のカード」
「セットブースター産のカード」
を見分けている。
このような分け方は元来無かったはずのものだ。
(コレクターブースターとセットブースターがそもそも無かったのだから、
当然と言えば当然だが。)
この2つのブースターの印刷の質が同じであるのなら、
こんな事は言われなかった。
プロモスタンプとは異なる理由で同一商品内で区別がついてしまう。
ユーザーは新商品を乱発され、
それらのカードの印刷の質が悪い事に辟易している。
ユーザーが
「新商品を買わなくても、MTGを楽しむ事は可能だ」
と考えるようになったら、
スタンダードに飛びつく理由はより薄れるだろう。
9:他レギュレーションの選択肢が多い。
これも十分にある。
適当に書くだけで
・Alpha40
・Vintage
・Old School 93/94
・Legacy
・EDH
・Modern
・Pioneer
・Pauper
・Middle School
公式、準公式だけでもこれだけ出てくる。
スタンダードに縛られる理由なんて1つもない。
ハッキリと言ってしまえば、
これだけの遊び方の中で一番カードプールが狭いのだから、
その分だけ他のレギュレーションのほうが面白い可能性も大きい。
これに加えてMTGプレイヤーのMTG歴を考えるとわかりやすい。
ライトユーザーもいるとはいえ、
プレイヤーの平均年齢が上がってきている事は、
プレイヤーのMTG歴も上がっている事とイコールだ。
MTG歴2年を超えてくれば一度はスタンダード落ちを経験している。
MTG歴10年や20年ともなると10回以上のスタンダード落ちを経験している。
自分の持っているカード達をいろいろな形で使いたいのなら、
スタンダードをやる理由なんてものは減っていくだろう。
禁止カードの増加
これは一昔前から言われているのだが、
スタンダードで特定のアーキタイプが台頭するとその中からすぐ禁止カードが出る。
時期でいえばカラデシュ・ブロック付近から雲行きが怪しくなり、
禁止カードが無い期間の方が短いのではないか?と思うほど。
さらに2019年からは
「事前に禁止制限の告知日を決めることがができなくなってきています。」
と公式が発表、刹那で禁止されることに。
皆さんも記憶に新しいのではないだろうか、
《食肉鉤虐殺事件/The Meathook Massacre》、これがわかりやすい例だ。
一枚一万円前後のカードが予告無く使えなくなってしまった。
約二年間競技的に打ち込むぞ!と意気込んだプレイヤーからしたらたまったものではない。
値段に関わりなく、唐突に使えないカードが出るのだ。
上記は極端であるが、他の例として一昔前の《創造の座、オムナス/Omnath, Locus of Creation》、
《アールンドの天啓/Alrund’s Epiphany》など安価とはいいにくいものも指定されている。
(例は挙げないが、勿論安価な禁止カードも存在する)
環境のためであるとはいえ、
頑張って集めたカードを約二年さえ安定して遊ぶことができるか怪しい。
という状況をもう五年以上続けているのだ。
わざわざそんな危険な場所で遊ぶ人は少なくなるだろう。
終わりに
以上、終了。
自分がちょっと考えただけでこの量。
他にも人それぞれの
「スタンダードをやらない理由」
はありそうだ。
そういえばスタンダードとは違うものの、
時代の変遷というべきか、
昔と今で変わったと思う事がある。
20年前、大会を主催して最大で約100人が集まった。
今のようにTwitterや他の発信方法も何もない時代にだ。
この大会の賞品が豪華だったわけでもない。
参加費:800円
優勝賞品:当時のスタンダードのブースター1ボックス
場所:静岡県沼津市
こんな条件でよく集まったものだ。
しかし、今はこの条件で集まる事はない。
でも、MTG黎明期よりもプレイヤーの数は増えているはずだし、
カードゲームという文化も20年前よりも市民権を得ている。
でも、人は集まりにくい。
どうして?と言ったら、
「カードゲームは大人の趣味になったから」
じゃないかと思う。
昔も大人の趣味の1つだったけれども、
MTGを始める年齢が小学生、中学生、高校生の子がいっぱいいた。
今、MTGを始める年齢層はもっと上だと思う。
そこから継続して遊ぶにあたり、
仕事と趣味のバランスを考えたら、
毎日のように遊ぶ事は出来ない。
深く、そしてお金を突っ込む趣味に昇華したものの、
学生時代とは違って許される時間数は減る。
それが社会人の立場。
限られた時間の中でも自由になる経済力の幅が変わり、
趣味をよりじっくりと楽しむ年齢層になったからこそ、
野良大会で100人は成立しない。
反面グランプリのような大きなトーナメントでは人はかなり集まる。
これはその経済力のついた大人が、
「よし、そこだけは休みをとる!」
と動けるからこそなのだと思っている。
あと、遠征出来る経済力が昔は無かった人も多かったはず。
「遠征するくらいならそのお金でカード買うわ。」
という人もいただろう。
WotC社には今後も良いサービスをしてもらいたい。
そのためにまずはこうしたお客様の立場や意見をしっかりとみてほしいと思っている。
ではまた。
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