皆さんこんにちは、ウィンターと申します。
何度かSerraさんホームページでこらむを執筆させていただいております。
今回は、せっかく天和決めたのだからデッキ紹介してみたら?とSerraさんにお声がけいただきましたので、
自分が5年ほど使用している《触れられざる者フェイジ/Phage the Untouchable》のEDHについてご紹介します。
《触れられざる者フェイジ/Phage the Untouchable》
コスト:3黒黒黒黒
伝説のクリーチャー アバター(Avatar) ミニオン(Minion)
触れられざる者フェイジが戦場に出たとき、あなたがそれを自分の手札から唱えたのでない場合、あなたはゲームに敗北する。
触れられざる者フェイジがクリーチャーに戦闘ダメージを与えるたび、そのクリーチャーを破壊する。それは再生できない。
触れられざる者フェイジがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーはゲームに敗北する。
4/4
レア
収録されているカードが全てクリーチャーという特徴的なパックである
レギオンに収録されているレアのクリーチャーです。
背景ストーリーではカマールの妹ジェスカの死骸が、
陰謀団の呪術によって蘇生した人物として登場しています。
凄まじい黒の力をもち、最後はアクローマ・ザゴルカと融合し、
邪神カローナとなって世界を脅やかします。
能力は非常にユニークで、一度でもフェイジから戦闘ダメージを与えられたプレイヤーは
ゲームに敗北してしまうという非常に珍しい能力を持っています。
更にクリーチャーに戦闘ダメージを与えたときにも
再生を許さず破壊するという強い接死のような能力もあります。
反面強烈なデメリットがあり、このカードを手札以外からプレイしたり、
唱えずに戦場に出したりするとコントローラーがゲームに敗北してしまいます。
リアニメイト系はもちろんのこと、《裂け目の突破/Through the Breach》や
《騙し討ち/Sneak Attack》で踏み倒してはいけないということです。
非常に癖のあるカードですが、実はトーナメント環境で使われた実績がわずかにあります。
かつてのエクステンデッドに存在していたFull English Breakfastというデッキに採用されていました。
そのデッキは《ヴォルラスの多相の戦士/Volrath’s Shapeshifter》と
《適者生存/Survival of the Fittest》を組み合わせたクリーチャー・コンボのデッキです。
《ヴォルラスの多相の戦士》は墓地の一番上のクリーチャーの能力を得るので、
《ヴォルラスの多相の戦士》のアタックが通ったなら
即座に《適者生存》を起動して墓地の一番上を《フェイジ》にしてワンショットを狙うというコンボがありました。
しかしここはEDH。統率者に指定している以上は黒と無色のカードしか使えません。
ではそんな彼女を使ってデッキを構築していきましょう。
デッキは以下。
ジェネラル:《触れられざる者フェイジ/Phage the Untouchable》
-クリーチャー11枚-
《モーギスの匪賊/Mogis’s Marauder》
《疫病造り師/Plaguecrafter》
《墓所の怪異/Crypt Ghast》
《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》
《墓生まれの詩神/Graveborn Muse》
《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》
《血の贈与の悪魔/Bloodgift Demon》
《アスフォデルの灰色商人/Gray Marchant of Asphodel》
《鋼のヘルカイト/Steel Hellkite》
《白金の天使/Platinum Angel》
《ルーン傷の悪魔/Rune-Scarred Demon》
-インスタント10枚-
《暗黒の儀式/Dark Ritual》
《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
《喉首狙い/Go for the Throat》
《無残な収穫/Grim Harvest》
《無情な行動/Heartless Act》
《インプの悪戯/Imp’s Mischief》
《四肢切断/Dismember》
《悪意の熟達/Baleful Mastery》
《殺し/Snuff Out》
《刺のある研究/Stinging Study》
-ソーサリー14枚-
《沸き立つ汚泥/Bubbling Muck》
《伝国の玉璽/Imperial Seal》
《無垢の血/Innocent Blood》
《悪魔の教示者/Demonic Tutor》
《大群への給餌/Feed the Swarm》
《夜の囁き/Night’s Whisper》
《血の署名/Sign in Blood》
《不気味な教示者/Grim Tutor》
《毒の濁流/Toxic Deluge》
《ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will》
《滅び/Damnation》
《もぎとり/Mutilate》
《命運の核心/Crux of Fate》
《女王への懇願/Beseech the Queen》
-エンチャント6枚-
《ファイレクシア流再利用/Phyrexian Reclamation》
《ドラゴンの影/Dragon Shadow》
《ネクロポーテンス/Necropotence》
《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》
《終わりなき囁き/Endless Whispers》
《Nether Void》
-アーティファクト24枚-
《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》
《宝石の睡蓮/Jeweled Lotus》
《水連の花びら/Lotus Petal》
《魔力の墓所/Mana Crypt》
《探検の地図/Expedition Map》
《魔力の櫃/Mana Vault》
《多用途の鍵/Manifold Key》
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
《太陽の指輪/Sol Ring》
《通電式キー/Voltaic Key》
《秘儀の印鑑/Arcane Signet》
《炭色のダイアモンド/Charcoal Diamond》
《冷鉄の心臓/Coldsteel Heart》
《終わりなき地図帳/Endless Atlas》
《黒玉の大メダル/Jet Medallion》
《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》
《精神石/Mind Stone》
《冥界生まれの祭壇/Netherborn Altar》
《無限の日時計/Sundial of the Infinite》
《速足のブーツ/Swiftfoot Boots》
《倦怠の宝珠/Torpor Orb》
《スカイクレイブの秘宝/Skyclave Relic》
《面晶体の記録庫/Hedron Archive》
《金粉の水連/Gilded Lotus》
-プレインズウォーカー1枚-
《ソリン・マルコフ/Sorin Markov》
-土地33枚-
《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
《湿地の干潟/Marsh Flats》
《汚染された三角州/Polluted Delta》
《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
《古えの墳墓/Ancient Tomb》
《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
《陰謀団の貴重品室/Cabal Coffers》
《統率の灯台/Command Beacon》
《Lake of the Dead》
《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》
《ならず者の道/Rogue’s Passage》
《作戦室/War Room》
《死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death’s Storehouse》
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborb, Tomb of Yawgmoth》
19《沼/Swamp》
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【デッキの使い方】
大まかなプレイの指針は3ステップです。
1.大量のマナファクトとドローソースでリソースを確保。
2.《フェイジ》を出すためのカード使って統率領域からフェイジを救出。
3.《フェイジ》を出して殴る。
◆大量のマナファクトとドローソースでリソースを確保。
大前提として《フェイジ》は黒マナ4つを含む7マナを要求される重量級の統率者です。
そのため序盤はとにかくマナを伸ばし手札を増強しましょう。
また他の統率者が大きく動くことも多いので
豊富な全体除去で盤面整理に努めましょう。
幸いなことに《フェイジ》で攻撃することに集中させているので
クリーチャーをあまり採用していません。
全体除去をためらいなく打つことが出来ると思います。
リソースを稼ぐカードとして直近の統率者デッキから
《刺のある研究/Stinging Study》を採用しています。
《刺のある研究/Stinging Study》
コスト:4黒
インスタント
あなたはカードX枚を引き、X点のライフを失う。
Xは、戦場か統率領域にありあなたがオーナーである統率者1体のマナ総量に等しい。
レア
ライフ1点を1枚ドローに変換してくれるシリーズの統率者版です。
《夜の囁き/Night’s Whisper》や《血の署名/Sign in Blood》も採用されていますが
このデッキで使えば5マナ7ドローとなり、マナに対するコストパフォーマンスが高くなっています。
《ネクロポーテンス/Necropotence》と比較した場合、
継続的なアドバンテージが取れず、瞬間的にかかるマナコストは《刺のある研究/Stinging Study》のほうが重いです。
一方で色拘束が軽く無色のマナファクトばかりでも使いやすく、引いたターンに即座にカードを使用できる利点があります。状況に応じて使い分けましょう。
◆《フェイジ》を出すためのカード使って統率領域からフェイジを救出。
このデッキに採用されている《フェイジ》を統率領域から場に出すカードは以下です。
《統率の灯台/Command Beacon》(統率領域から手札に)
《冥界生まれの祭壇/Netherborn Altar》(統率領域から手札に,何度も使用可能)
《白金の天使/Platinum Angel》(敗北効果を無効に)
《無限の日時計/Sundial of the Infinite》(敗北効果をターン終了により打消)
《倦怠の宝珠/Torpor Orb》(敗北効果を誘発させない)
《Nether Void》(フェイジをカウンター後、別のカードで墓地回収)
どのカードを使うかは実際のゲーム盤面によりますが、
無難な選択肢は《統率の灯台/Command Beacon》と《冥界生まれの祭壇/Netherborn Altar》です。
この2つは妨害されにくいカードで、能力の起動にマナが掛からないので優秀です。
速攻付与系のカードと組み合わせて奇襲する場合にも有用なので、
困ったら《統率の灯台/Command Beacon》か《冥界生まれの祭壇/Netherborn Altar》をサーチしましょう。
一番最後の《Nether Void》は少し特殊ですが《フェイジ》の召喚に利用可能です。
《Nether Void》
コスト:3黒
ワールド・エンチャント
プレイヤー1人が呪文を唱えるたび、そのプレイヤーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
レア
レジェンド収録の3大黒エンチャントの1枚です。
《フェイジ》の能力は戦場に出ることで初めて誘発する能力です。
つまり戦場に出る前に打ち消すことが出来れば、
自分が敗北することなく墓地に送ることが可能です。
墓地に《フェイジ》を置いた後は《ファイレクシア流再利用/Phyrexian Reclamation》や《無残な収穫/Grim Harvest》で回収し手札からのキャストに備えましょう。
《フェイジ》をキャストした後の盤面を固定する手段としても有効です。
《フェイジ》のデッキを非常に強化している《Nether Void》ですが、
持ってない人にとっては中々手が出ないカードだと思います。
その場合は《衰亡の加護/Withering Boon》でも似たようなことが出来ます。
《衰亡の加護/Withering Boon》
コスト:1黒
インスタント
この呪文を唱えるための追加コストとして、3点のライフを支払う。
クリーチャー呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
アンコモン
3点ライフを要求する黒い《霊魂放逐/Remove Soul》です。
少なくとも相手の統率者をカウンター出来るので腐りづらいカードです。
《Nether Void》がない場合はこちらの採用の検討、
もしくは自由枠としてお好きなカードを採用してみてください。
◆フェイジを出して殴る。
体制を整えた後は《フェイジ》を出してプレイヤーを狙いに行きます。
《フェイジ》を出すうえで一番の理想は速攻付与手段と共にプレイし、
がら空きのプレイヤーもしくは一番危ないところを狙いに行きましょう。
相性が良い速攻付与として《モーギスの匪賊/Mogis’s Marauder》を採用しています。
《モーギスの匪賊/Mogis’s Marauder》
コスト:2黒
クリーチャー 人間(Human) 狂戦士(Berserker)
モーギスの匪賊が戦場に出たとき、クリーチャーを最大X体まで対象とする。
それらはターン終了時まで威嚇と速攻を得る。Xはあなたの黒への信心に等しい。
(威嚇を持つクリーチャーはアーティファクト・クリーチャーかそれと共通の色を持つクリーチャー以外にはブロックされない。あなたの黒への信心は、あなたがコントロールするパーマネントのマナ・コストに含まれる(黒)の数に等しい。)
2/2
アンコモン
速攻と同時にブロックされにくくする能力を同時に付与可能です。
特に一番危ないプレイヤーを狙いに行く時に有効です。
優位なプレイヤーを狙うときはターゲットのプレイヤーから除去が飛んでくる可能性も高いですが、
そんな時は周りのプレイヤーにお願いしてみましょう。
敵の敵は味方ということで、意外と助けてもらえる時も多いです。
全員の勢力が均等で誰から狙うか迷うといったときの個人的な指針としては
白が入っているプレイヤー>青が入っているプレイヤー です。
《フェイジ》にとって一番の天敵は追放除去です。
破壊やバウンスであれば墓地回収や手札からのキャストを狙うことが出来ますが、
追放除去は統率領域に逃がすしかなく、もう一度統率領域からの救出を行う必要があります。
白が入っているデッキは《剣を鍬に/Swords to Plowshares》や《流刑への道/Path to Exile》といった
軽量追放除去が多く厄介な相手なので、狙えるのであれば早めに落としましょう。
もちろんこれはあくまで全体の勢力が均等だった場合であり、
盤面の状況やヘイトを考慮して狙う場所を決めましょう。
また《フェイジ》自体は攻撃が通らなければ意味がありません。
ブロッカーいるから大丈夫と放置されるケースもあります。
盤面の状況的に問題なければ無理に速攻付与を狙わず
そのまま戦場に出すことも考えましょう。
以上が大まかなプレイ指針になります。
個人的なお気に入りカードはこの一枚です。
《終わりなき囁き/Endless Whispers》
コスト:2黒黒
エンチャント
各クリーチャーは
「このクリーチャーが死亡したとき、対戦相手1人を対象として選ぶ。次の終了ステップの開始時に、
そのプレイヤーはこのカードを、オーナーの墓地から自分のコントロール下で戦場に戻す。」
を持つ。
レア
若干分かりづらいカードですが、死亡したクリーチャーが自分以外の戦場に戻ってくるというカードです。
《フェイジ》の敗北誘発によってゲームに負けるのは、《フェイジ》のコントローラーです。
このカードを使って対戦相手に押し付けることで相手を特殊敗北させることが可能です。
この効果によって対戦相手がゲームに敗北した場合、
対戦相手もろとも《フェイジ》が追放されてしまうので統率領域に戻しましょう。
対戦相手が減り、最後のタイマンになった時に狙ってみましょう。
余談ですが、このカードを使ってSerraさんを特殊敗北させたことがあります。
Serraさんが《The Tabernacle at Pendrell Vale》をコントロールしていたので、
統率領域から《フェイジ》を回収してそのままキャスト!
あと《終わりなき囁き/Endless Whispers》をキャストします!
次のターン維持コスト払う気ないです!
で《フェイジ》を押し付けて特殊敗北させました。
相手のカードによっては不思議なことが起こるのでぜひお試しください。
【終わりに】
《フェイジ》というデッキは統率者を非常に出しにくいある意味で超上級者向けデッキのように見えますが、
MTGのルールは分かっているがEDHは初めてという方には実はおすすめのデッキです。
このデッキは大量のサーチカードの使い方や、「ヘイト管理」という考え方を学ぶには最適です。
サーチカードで持ってくるのは全体除去か、統率者のキャストに備えるのか、
今《フェイジ》を出していいのか、だれから狙うのかといった駆け引きを楽しむことが出来ます。
また、どれだけ放置される状況といっても《フェイジ》を場に出せば明らかに自分へのヘイトが上がります。
多人数戦ならではの現象を楽しむこともできます。
もしこのコラムを読んでみて興味を持たれた方は一度組んでみてはいかがでしょうか。